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虚ノ少女

作品名

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日本が戦争への道を歩み始めた、所謂戦前と呼ばれた時代。
北陸の雪深い山中に 人形(ヒトガタ) と云う集落があった。
‘ヒンナサマ’ と云う土人形を祀る奇妙な風習が残る此の地にて、祭りの夜にひとりの女が殺されていた。
村のものは口々に ‘ヒンナサマ’ の祟りだと口にした。
正統ではない者が ‘ヒンナサマ’ を祀ったが故に祟りに遭って殺されたと。

昭和三十二年、十二月。
朽木冬子が病室より攫われてから、およそ二年の歳月が過ぎていた。
時坂玲人の妹・紫は、自殺を図ろうとしていた男を助ける。
この男こそ現在に黄泉帰った ‘ヒンナサマの祟り’ の被疑者であった――

戦時を跨いで続く妄執を断ち切る為に時坂玲人は動く。
その胸の内に冬子への妄執を引き摺りながら――

同時期に動きを見せ始めた、六年前に解散した筈の宗教団体は果たして、何を画策しているのか――

祟りを為すのが天であろうとも、手を下すのは人である。

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